FC2ブログ

伝染性軟属腫(水いぼ)

伝染性軟属腫ウイルス(MCV)の直接接触もしくは感染者の触ったもの(タオル、衣服等)に付着したウイルスによって感染し、潜伏期間は2週間から6ヶ月と幅があります。発疹は丘疹様でそれぞれが孤立して散在、少し光った感じの皮膚色で中心に窪みがあります(こどもの病気簡単解説参照)。この丘疹は体のどこにもできますが、眼瞼あるいは陰嚢などにもできてびっくりします。数え切れない程度から数個までと様々ですが、免疫状態が低下している小児では多数になります。アトピ-性皮膚炎の小児では病巣が感染しやすく広がりやすい特徴があります。軟属腫1

 ウイルス感染ですので免疫が成立すれば自然治癒してゆきますが6ヶ月から3年程度かかることが珍しくありません。治療としては1)ピンセットでとる2)液体窒素で凍結3)硝酸銀ペ-スト塗布などの方法がありますが、限度以上に痛がらせないこと、瘢痕をつくらないように治療することが重要になります。もちろん自然治癒をまっても問題はありません。当院では背中一面に無数の軟属腫ができた1歳児を経験、経過のみで1年後にはきれいに消失した経験をしました。また硝酸銀ペ-ストでは水痘の痕のように瘢痕が残り患者さんに迷惑をかけたことがあります。
 幼児・小児に圧倒的に多い疾患ですが、性的接触で感染することがあり当院でも成人女性の治療をしたことがあります。

b782bed6[1]


    ポイント:ウイルス感染なので待てば治癒する。
        治療するとすればピンセットで取るか、液体窒素・硝酸銀ペ-ストなどの方法がある。
        治療を受ける受けないの判断は保護者が判断すればよい。
        青年期では性交渉で外陰部周囲に発症することがよくある。
        夏はプ-ル等があり問題になるが、保護者の判断が優先されるべきと考える。 
スポンサーサイト



流行性耳下腺炎(ムンプス)

いわゆる"おたふくかぜ"のことです。ムンプスウイルスの飛沫感染により14~24日の潜伏期ののち、片側もしくは両側の耳下腺の痛みを伴った腫脹で発病します。1日程度の発熱が先行することもあります。脹れ方は急激で数時間で大きくなり驚かされますが、普通は1~3日で最大になりますmunpusdiag.jpgparotitis.jpg










片側だけしか脹れないケ-スが約25%, 顎下腺の腫脹も少なからず見られますが、顎下腺のみの腫脹は10%前後にみられます。また感染しても30~40%は耳下腺の腫脹がみとめられません。とくに1歳前後の幼児の顕性感染率は20%と低く感染していても気づかないことが多く、病識のないままムンプスウイルスに感染していたということも少なくありません。こうした場合は血液検査で抗体価を確認する必要があります耳下腺は他のウイルス(コクサッキ-、パラインフルエンザウイルス等)や細菌等の感染でも脹れることもあり"おたふくかぜ"が流行していない時期の"おたふくかぜ"の診断は誤診のことも少なくありません。"おたふくかぜ"の最大の合併症は無菌性髄膜炎で4日以上高熱が続いて解熱しない場合は可能性大です。睾丸炎(精巣炎)は成人ではよくみられますが(25%)、幼小児ではみることはほとんとせありません。完全難聴(ほとんどが片側のみ)の後遺症も報告されていますが、確率は低くこれまでに1人だけ経験したことがあります(10,000人に1人程度)。軽い膵炎はよくみられますが重症化することはありません。予防はワクチンが有効です。sglands.jpg
唾液腺には耳下腺・顎下腺・舌下腺の3つがあります。耳下腺と顎下腺はムンプスの時、良く腫れてきますがその正確な位置を記憶しておくことは診断に役立ちます。
   



  ポイント:必ずしも両側が脹れるわけではない。
      顎下腺のみ脹れて耳下腺の腫脹がない場合がある。
      感染しても症状がない場合(不顕性感染)がある。
      したがって紛らわしいケ-スではムンプス抗体価のチェックが必要。
      無菌性髄膜炎は対症療法で治癒するので過度に心配する必要はない。 

12c06d1d[1]
[ 参考 ]  img727.jpg

夏の特徴のない発熱(夏かぜ)

突然の発熱(38~40゜C)が3日程度続き、ほかに咽頭痛、嘔気、下痢、時に発疹など出現しますが手足口病、ヘルパンギ-ナ、プ-ル熱等の特徴のみられない感染症が夏によくみられます。多くはエンテロウイルスの感染と考えられます。エンテロウイルスにはコクサッキ-、エコ-ウイルスなどが含まれ多くの型に分類されています。感染しても症状がないかあっても軽症なことが大部分ですが、このように高熱だけが主症状の経過をとることがすくなくありません。発疹が出現する場合は水泡状、斑状、丘疹様とさまざまな形をとります。時に無菌性髄膜炎を呈することがありますので、発熱初期に細菌性髄膜炎と鑑別できる的確な検査診断等が必要になることがあります。多くは問題のない経過で治癒してゆきます。

     ポイント:夏の発熱を来たす疾患として実際にはめずらしくなくごく普通にみらる。
          

手足口病

 手足に水泡、口腔内にアフタもしくは浅い潰瘍をみとめる疾患で乳幼児に多くみられます。発熱はあっても軽度で自然に治癒してゆきます。コクサッキ-A16ないしエンテロウイルス71が原因で飛沫・接触・糞口感染後4~6日の潜伏期をおいて発病、夏に多い疾患です。無菌性髄膜炎、ギランバレ-症候群や心筋炎がまれに合併することがありますが、とくに問題なく経過します。発疹は丘疹様のものが四肢・臀部などに出現することもあります。手(手掌)・足(足底)の水泡は比較的平坦で表面は白っぽくみえます。手足口病の原因となるウイルスにはほかにもコクサッキ-A 5,7,9,10 コクサッキ-B 2,5 などがあげられ手足にみられる発疹が微妙に異なっていることがよくあるので注意が必要です。臀部にできる発疹は丘疹様で水泡形成することはありません。img564[1]

 コクサッキ-ウイルスなどの夏かぜウイルスはエンテロウイルスに含まれます。エンテロウイルスの中にはポリオ(1-3型)、コクサッキ-A(1-22,24),コクサッキ-B(1-6), エコ-ウイルス(1-7,9,11-12,24-27,29-33)エンテロウイルス68-71 などたくさんの型があり感染すると症状がないもの(不顕性感染)や熱だけ(非特異的熱性疾患)の経過をとるものから、手足口病やヘルパンギ-ナ等特徴的な症状を呈するものまで種々あります。このグル-プはいずれも髄膜炎、脳炎、心筋炎等の重症な病態を来たすことがあるので油断はできません。




b9e6c2de[1]
381fb06d[1]
hfmd.jpg




     ポイント:発熱することも少なく、軽い経過が特徴。
         原因のウイルスは複数あって微妙に発疹の形が違っている。
         水泡を持つものは時に水痘と間違えることがある。

ヘルパンギ-ナ

これも夏かぜの定番です。ポイントは口腔内とくに口蓋垂の周辺に紅斑をともなった水泡→潰瘍・アフタができることです。多くは突然の発熱後1日位で出現します。原因はコクサッキ-ウイルス(A 2,4,6,8,10)、飛沫もしくは経口感染後2~4日で発病します。発熱(2~4日)、咽頭痛、よだれ過多、食べられない、頭痛などが主な症状ですが、脱水等重症化することは少なく軽症の経過をとりますが、時に高熱が続き解熱せず無菌性髄膜炎を合併することがあります。すっぱいもの、しみるもの、味のつよいものはいずれも痛みを誘発しますので、注意が必要です。

       ポイント:高熱で突然発症、のどの痛みで食べられなくなることが多い。
           脱水がひどく点滴が必要になるケ-スは思った以上に少ない。
           のどに典型的な潰瘍がないものもあるので注意。

img541.jpg (アトラスさくま:メデイカル情報センタ-、2005.より一部改変引用)

咽頭結膜熱

 夏かぜがは大きく分けて4種類あります。手足口病、ヘルプアンギ-ナ、咽頭結膜熱(プ-ル熱)、エコ-ウイルス等その他の発熱疾患などです。このうち咽頭結膜熱は突然の発熱、咽頭炎、目の充血をおもな症状とします。原因はアデノウイルス3型(4,7,11)で5~7日の潜伏期を経て発病、結膜炎が見られない場合もあります(25%)。主要症状がそろえば診断は容易ですが、結膜炎がない場合はアデノウイルスの迅速検査キットが有効です。発熱は3~5日程度で高熱、時に7型アデノウイルスにて肺炎をおこすことがありますが、多くは対症的な治療で治癒します。アデノウイルス感染症は迅速キット検査の普及により、診断が容易になって夏以外のシ-ズンでも拾いあげられるようになってきています。アデノウイルス感染症の病型は下の表のごとく多様ですが、学校伝染病として出席停止になるのは咽頭結膜熱と流行性角結膜炎の2疾患です。

803f89c5-s[1]

 
        ポイント:突然の高熱と眼瞼結膜の充血が特徴。
             プ-ルなどで糞口感染で伝搬するためプ-ル熱ともいわれる。
             CRP高値・白血球増多(2万前後)があるので細菌感染との鑑別が必要。
[参考]img724.jpg
adeno.jpg

[参考]ウイルス定点