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水痘(みずぼうそう)

 日常とてもよくみられる感染症です。水痘・帯状疱疹ウイルス感染後、10日~16日前後で水泡をもった発疹が出現します。ウイルスの直接接触もしくは空気感染により呼吸器から進入します。発熱はあっても中程度で38゜C台のことが大部分です。発疹は最初赤い丘疹から水泡をもち破れてびらんから黒っぽいかさぶたになります。また初めからポツンと孤立した水泡が出現することも少なくありません。img808.jpg

発疹は様々の段階のものが混在するのが特徴で痒みを伴います。数は300個前後くらいが普通ですが、最近では予防接種もしくは抗ウイルス剤により数えられる程度に留まっています。成人では頻度が少なくなりますが、感染した場合発疹等の症状はより重症化することが多いようです。出産後すぐの赤ちゃん(予定日近くに母親罹患)では生死を分ける程度に危険ですが、6ヶ月前後迄の乳児は母親からの抗体に守られて感染発病することは多くはありません。水痘で問題なのは免疫状態の低下した状態での感染です。重症化して死亡する場合が少なくなく、白血病で出血性の発疹が隙間なく出て救命できなかった患者さんを診たことがあります。また皮膚に二次的な細菌感染から膿瘍を形成して治療に苦労したことがあります。水痘は一回感染するとウイルスは完全になくならず神経根に潜んでその後帯状疱疹として出てくることが10%程度の人にみられます。帯状疱疹は小児期ではそんなに多くはありませんが45歳以上の成人ではごく普通にみられる疾患です。小児では帯状疱疹が治癒したのちの神経痛で悩むことはほとんどありませんが、成人では帯状疱疹後の疼痛の管理が大きな問題になります。予防はワクチンです。接種しても10%程度は罹患しますがその程度は軽くなることが知られています。
 治療は発疹がまだ少ないとき、水泡が2~5ヶ程度で抗ウイルス剤を服用すると症状の軽減ができます。

       ポイント:多くの場合、発病しても抗ウイルス剤の服用で軽くすむ。
           免疫の低下した状態では致死的なことがあり危険。
           成人になってから感染すると重症化することが多い。
           4日以上解熱しない時は細菌感染のことがあり、医師の診断を受けること。 

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[発疹出現2日目の同一患者の皮疹の形態]
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[発疹出現4日目、ワクチン未接種、バルトレックス服用中]
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マイコプラズマ肺炎

マイコ形態
 長引く咳、むせて「コホッ」と出る乾いた咳、激しい咳が間断なく続いて眠れない、熱がないのに胸を痛がる、年少のこども程高熱が続くことが多く発熱のわりには元気、あるいは夜になると少しぐったりして熱ぽい等々がマイコプラズマ肺炎を想起させる症状です。 診療所で胸部写真とマイコプラズマの迅速検査(イムノカ-ド・リボテストマイコプラズマ)を施行することによって診断が決定します。ただ、イムノカ-ドの評価には多少問題がありリボテストマイコと組み合わせて検査を実施することによって、もしくは症例をたくさん見ることによって診断の精度を向上させることができます。MP経過 (1)
 この肺炎はマクロライド系の抗生物質(たとえばクラリシッド)が有効で10日程服用すれば頑固な咳、胸部の異常も入院することなく改善外来で治療可能です。感染力がありいつも一緒に生活している家族あるいは幼稚園学校職場などで伝染する頻度が高く、長く乾いたような咳をする人のそばで咳こみが始まったら感染して発病した可能性があります。早目に抗生物質を服用すると良い結果がえられます。普通、合併症を伴うことは多くはありませんが、文献上はいろいろと報告されていますが実際に経験したものでは髄膜炎、小脳失調、甲状腺機能亢進症、腎炎、不整脈などがありました。経過中、発疹をみとめることも少なくありません。
 感染経路は飛沫感染です。学校の教室や家庭内など狭い空間で伝染しやすく流行します。潜伏期間は1~3週間で、倦怠感・微熱・発熱・続いて乾いたむせるような咳ではじまります。成人では発熱はみられないことが多く、頑固で長引く咳で受診される場合が普通です。3歳以下のマイコ感染症は少ないようですが、この場合は発熱のみのことが多く、疑って検査をすることによってマイコ感染と判明します。外来では普段よくみられる肺炎で、かつては数年毎に大流行する感染症として知られていましたが最近では恒常的にみられるようになっています。mpab.jpg
一般的に細菌は細胞壁を持っていますがマイコプラズマはこの細胞壁をもたないのが特徴です。また、マイコプラズマは他の細菌のように直接的なヒトの細胞障害性はなくマイコプラズマの菌体成分がヒトの免疫反応を過剰に引き起こして、その結果肺炎等の病像が形成されると考えられています。免疫反応は3週間程度で終息,マイコプラズマの臨床症状も治まってゆきますが、菌の排出は数週間から数ヶ月続くことが証明されていて、今後の課題になっています。また、マイコプラズマのマクロライド系抗生物質に対する耐性菌が治療の上で問題になってきています。mycotaisei.jpg mycogenetsu.jpg











マクロライド系の抗生物質を処方され、3日目になっても症状の改善(解熱傾向・咳の減少)がない場合は耐性の可能性があります。抗生物質をミノマイシンもしくはニュ-キノロンに変更すると驚くほど効果的です。ただ8歳未満でのミノマイシンの使用は歯牙の着色の問題があり禁止されていて、オゼックス細粒を使用することになります。mpantibiotics.jpg
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マイコプラズマ肺炎でみられる発疹と眼瞼結膜の充血。
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  ポイント: だらだらと続くむせるような乾いた咳。
          小児、幼児では発熱があることが多いが、成人では熱がないことのほうが普通。
          外来で治療が可能だが2・3日経過しても改善ない時は耐性菌を考える。
          検査が病初期だとまだ肺炎になってない状態(マイコ感染症)で診断できる。






マイコプラズマと頑固な咳



マイコプラズマ感染症による咳嗽は多くは1ヶ月以内に終息、抗生物質が奏功した場合は服用後2~3日で咳がみられなくなりますが、中にはダラダラと咳が長引く場合も少なくありません。そのような場合の考え方としては次のようなことが原因として列挙可能です。


  マイコプラズマは気道の線毛粘膜上皮に親和性があり、気道表面を遊走して増殖します。したがって中枢の太い気管支から末梢気道の細気管支・呼吸気管支・肺胞道まで連続的に炎症を引き起こし、気道上皮が広範に障害がされ結果として咳受容体が強く刺激され頑固に咳が出現すると考えられています。
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感染後の長引く咳の考え方


















マイコプラズマ感染後咳嗽が長引く場合の考え方



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マイコプラズマの持続感染もしくは細気管支炎を起こした場合



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マイコプラズマ感染により気道の過敏性が亢進して咳喘息や喘息が発症もしくは増悪する場合



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マイコプラズマ感染により鼻炎・副鼻腔炎が悪化し後鼻漏を介して咳嗽が起こる場合




   
[参考]
マイコプラズマの従来の検査・イムノカ-ドマイコプラズマでは偽陽性の問題、急性期をすぎても1~2年間は陽性が持続することから、必ずしも現在の症状に対して正確な診断ができないことが欠点でした。最近、マイコプラズマ抗原を直接咽頭から検出する方法が開発され臨床に利用されて正確な診断に貢献することが期待されています。いずれも操作は簡単で結果も迅速に得ることができます。プライムチェックマイコプラズマ抗原検査の方が感度・特異度とも優れた評価を受けています。riboprim.jpg
MP検査比較
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マイコプラズマ感染症では肺炎だけでなく他臓器の病変も多彩で、簡単な症例ばかりではないことを銘記しておくことが診断治療に欠かせない要点になる。
MP肺外症状
            

伝染性紅斑

 ヒトパルボウイルスB19の飛沫もしくは経口感染によって4~28日の潜伏期間の後、発病します。顔面のりんご様の発疹が特徴的でりんご病とも言われています。発疹は顔、手、足に出現し最初は斑状ですが、おくれて中央部が消退しレ-ス様模様になります。症状はわずかにいた痒い程度で、日光下では発赤が増強します。成人ではこどもより頻度が少なくなりますが、関節痛、倦怠、発熱などがみられることがあります、無症状で経過する場合も少なからずみとめられます。img163.jpg
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このウイルスは赤血球の前駆細胞に感染しますので溶血性貧血の患者さんでは重症の貧血に見舞われます。当科も血色素が3.6 g/dlと極端に低下、輸血によって危機を乗り越えた経験があります。感染力は発疹出現前の方がが強く、感染しているかどうか把握できないため感染対策がうまくゆきません。妊婦さんに感染すると胎児の異常、流産の可能性があり要注意です。自然治癒しますので多くの場合診断の確定のみで投薬等の必要はありません。



   ポイント : 自然治癒する。
         特別な貧血患者(遺伝性鎌形赤血球症など)は要注意、感染すると重症貧血。

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