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ライノウイルス感染症(いわゆる"はなかぜ")

 ライノウイルス、名前はなじみが薄いですが、こどもからおとなの普段よくみられる鼻水・鼻づまり・のどいたなどの風邪症状の一番の原因ウイルスです。reino1.jpg
110種以上の血清型に及ぶこととが知られています。鼻みずに接触あるいは空気感染で伝染し、潜伏期間は2~5日程度です。発熱はあっても軽度で鼻水・鼻閉・咽頭痛などがおもな症状です。遅れて咳などが30%程度に出現、1週間程度で治癒、長いものでは約2週間症状が続きます。感染しても症状がないもの(不顕性感染)もみとめられます。大きな合併症はみとめられませんが気管支喘息の増悪を起こすことが知られており、ステロイドはライノウイルス感染や気道の炎症を抑制することが報告されています。

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血清型が多いので乳幼児期から学童にかけて繰り返し感染します。治療は特別なものはありません。対症療法で十分です。こともがくりかえし"かぜ"にかかってばかりいて心配という親御さんの悩みをよく耳にします。ほとんどはこのウイルスの感染と考えています。もっともありふれた"かぜ"の犯人です。現時点ではインフルエンザのような迅速検査キットが開発されていないので診断は推定になってしまいます。



   ポイント:こどもの"はなかぜ"おとなの"かぜ"の多くははライノウイルスが原因。
       種類が多いので何回も感染し、ずっとかぜをひいているような情況になる。
       特別な治療はなく、大きなな合併症もない。
       気管支喘息の増悪を引き起こすことが報告されている。 
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伝染性単核球症(IM)

伝染性単核球症(IM)はEBウイルス感染によって発病します。発熱、咽頭痛、倦怠、リンパ節腫脹(とくに頸部)肝脾腫、咽頭・扁桃炎などがおもな症状です。唾液等で感染し約30日前後で発病します。4才以下の小児は感染しても症状がなく(不顕性感染)、40歳以上の成人では大部分の方がすでに感染しており、IMの症状がみられるのはもっぱら年長児や学童になります。口腔内の所見(軟口蓋の出血性粘膜疹・苺舌)は溶連菌感染症に似たところがあり、実際溶連菌感染を合併していることがあります。初期に頻度は少ないですがまぶたのむくみがみられることがあり、IMの診断に役立ちます。検査では白血球(リンパ球異型リンパ球)が増え、f942f02b[1]肝機能障害はほとんどの例にみとめますが多くはGOT,GPTは300~400以下で発病2週目がピ-クになります。診断はEBウイルスの抗体、初期にVCA-IgMを測定,陽性になれば確実です。治療は絶対的なものはなく対症療法を行います。ふつうは順調に回復しますが、諸症状が3ヶ月以上続く例(慢性活動性EBウイルス感染症)や貧血、出血傾向、肝機能障害が急速に進む例(血球貪食性リンパ組織球症)などの重症な経過をとるものがあり注意が必要です。ときに髄膜炎・ギランバレ-症候群・血小板減少症など合併することがあります。またEBウイルスは悪性リンパ腫(バ-キットリンパ腫・ホジキン病)、上咽頭がんなどを誘発することがあり医学的に腫瘍との関係で最初に注目されたウイルスの1つです。
.....異型リンパ球Atyp.jpg
..       ....診断基準imstand.jpg
     ....リンパ節腫脹1501f158[1] 
....症状と頻度IMfreq.gif

 ポイント: EBウイルスには様々な病型があり注目されている。
      小児では伝染性単核球症が多く、合併症がなければ 予後は良好。 
      2~4週程度で治癒するが、ウイルス自体はそのまま体内に潜伏、消えることはない。
 

溶連菌感染症

 こどもによくみられる咽頭炎・扁桃炎の原因菌です。溶連菌は培地の溶血の程度でα・β・γに分類され、さらに細胞壁の多糖類の違いから20以上の菌型があり、A群B群C群・・・と呼ばれます。A群はさらに細胞壁のM蛋白の構造の違いから100型以上の菌型が知られています。免疫獲得はこのM蛋白によって規定されるため型の違うM蛋白を持つA群連鎖球菌に対しては再感染することになります。img725.jpgこのように溶連菌はかぎりない程度の種類がありますがこどもに関連の深いのはA群β溶連菌です。この菌に感染すると咽頭炎・扁桃炎の上気道感染症あるいは膿痂疹・丹毒等の皮膚感染症を来たします。特別な菌体外毒素(A・B・C等)を産生する菌に感染すると猩紅熱の経過をとります。また重症な病型、トキシックショック症候群・壊死性筋膜炎を呈することがあり皮膚感染の場合油断ができません。感染後の合併症として急性腎炎(咽頭扁桃炎より皮膚感染症からが多い)が10日前後、リウマチ熱(咽頭扁桃炎からのみ)が18日前後にみられることがあるためその対策が必要になります。またチック・舞踏病を併発することがあり臨床経過は多彩です。
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 一般的にこどもの咽頭炎扁桃炎の大部分は溶連菌が原因で、感染すると発熱・咽頭痛・扁桃腫大などがみられます。さらに細かい発疹、苺舌などがみられような経過を猩紅熱と診断しますが、最近ではあまりみとめられなくなっています(溶連菌感染症のうち31-37%との報告あり)。飛沫感染で学校や家庭など限られた空間で感染しやすく、潜伏期間は2~5日程度、抗生物質を服用すると1日で菌の消失がみられます。経験ある医師はまだ何もはっきりした所見がないときでものど(軟口蓋の点状出血斑)をみるだけで判断できますが、夏かぜウイルスや伝染性単核球症等でも同じような変化がよくみられることがあり迅速検査をおこなって診断を確定することが望ましいと考えています。
 治療は抗生物質の服用ですが教科書的にはペニシリンの10日間投与が勧められています。他の抗生物質(セファロスポリン系)も有効ですが、どちらかを使用するかは医師によって異なっています。腎炎の合併症(0.5%未満)の早期発見(1~2週後にむくみ、血尿からはじまる)のため感染後検尿をする場合がありますが、腎炎の合併は皮膚感染(伝染性膿痂疹後約3週間)からが多く、また抗生物質を指示通り服用した場合ではほとんど急性腎炎の発症はみとめられず、敢えて検査する必要はないと考えています。
[抗生物質の使用方法]溶連菌治療選択


  ポイント:抗生物質を服用するとほぼ1日で解熱するが、合併症予防のため10日間継続のこと。
      A群β溶連菌にはM 蛋白の違いから多くの菌型があり、繰り返し感染することがある。
      高熱・発疹・苺舌・指先の落屑が見られる病型を猩紅熱と診断、最近では少ない。
      急性糸球体腎炎の80~90%は溶連菌感染を伴う。

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溶連菌感染症の年齢分布
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・1歳未満は極めてまれ。
・3歳未満は約11%、3歳未満では典型的な咽頭所見はほとんどみられず検査陽性の場合、ウイルス感染症(発熱)に溶連菌を保菌 しているだけ症例が含まれている可能性が指摘されている。