インフルエンザ菌感染症
名前にインフルエンザがついていますが、毎年流行するインフルエンザとは全く異なっていて、インフルエンザ菌はこどもの感染症で肺炎球菌と並んでもっとも知られている重要な細菌の一つです。由来は100年以上前にインフルエンザ様患者さんから、当時初めて検出されたとによります。乳幼児の髄膜炎・肺炎・中耳炎等の原因菌として有名です。細胞膜の構造から莢膜を有するもの(莢膜型)と無莢膜のもの(分類不能型:NTHi)に分類されます。
莢膜を有するものはさらにa~fの血清型に分かれ、b型が最も病原性が強いことが知られています。この血清型のインフルエンザ菌に対しては、ワクチンがアメリカで開発、実用化され日本でも導入されています。Haemophylus influenzae b が学名で略してHib、そのワクチンをヒブワクチンと呼ぶようになっています。莢膜型の感染は髄膜炎、肺炎、蜂窩織炎、化膿性関節炎、急性喉頭蓋炎、菌血症などの重症疾患をもたらします。多くは5才以下(なかでも2才以下)の罹患が多く、なんらかの防護機構の破綻により咽頭に付着している菌が血液に侵入することから発病します。無莢膜型は咽頭・鼻粘膜から直接伝播して副鼻腔炎、中耳炎、結膜炎などを引き起こしますが、莢膜型より軽症な臨床病型をとる一方、繰り返し罹患することが多く耐性菌の問題もあって治療等に苦労することがあります。
インフルエンサ菌は健康なこどもの大部分(60~90%)に常在菌として棲息しています。強毒性のb型は2~5%保菌されています。感染様式は飛沫感染で飛沫を吸い込んだり、直接飛沫に触れることによって伝播します。莢膜型は血液に侵入すると髄膜や関節などの部位に付着して、無莢膜型は中耳、気管支などに直接侵入して発病、この時はかぜなどのウイルス感染が先行しているとより咽頭から伝播しやすくなります。
重症型は乳幼児に多いので早期に診断して直ちに治療開始することが必要です。耐性菌が出現しているので適切な抗生物質を点滴静注することが、髄膜炎等を後遺症なく治癒に導くために重要です。中耳炎等の毒性の少ない無莢膜型のインフルエンザ菌に対しては、経口で抗生物質を使用しますが、この場合も耐性菌に対する配慮が必要になります。細菌性髄膜炎の約60%はインフルエンザ菌によります。その頻度は10万人に2~3人ですが、発病しますと10%程度の死亡率と30%を越える後遺症(硬膜水腫等)がみられ、乳幼児では最も怖い疾患の一つです。当院では開業21年、髄膜炎の患者さんを診ることがありませんでしたが、平成22年末から平成23年にかけて2人診断しました。いずれも後遺症なく治癒しています。

ポイント:インフルエンザ菌は乳幼児(特に2才以下)の細菌性髄膜炎の原因菌になっている。
重症病型(髄膜炎、肺炎等)が疑われる時には抗生物質の点滴静注が望ましい。
ヒブワクチンはb型インフルエンザ菌の罹患を防止するのに有効です。

莢膜: 細菌の細胞壁の外側を覆っている多糖体でできた膜、この膜をもっていると白血球などの攻撃に抵抗して強い病原性をもつことになります。細菌の血清型はこの膜の抗原性をもとに分類されます。 無莢膜のインフルエンザ菌はこの多糖体をもたないため血清型を分類することができず分類不能型とされています。ワクチンはこの莢膜を抗原として作成されているので、無莢膜の分類不能型による感染阻止の効果は期待できません
NTHi: non-typeable H influenzae ヒブワクチンに含まれていないNTHiあるいは非b型莢膜株が治療上問題になってきています。

インフルエンサ菌は健康なこどもの大部分(60~90%)に常在菌として棲息しています。強毒性のb型は2~5%保菌されています。感染様式は飛沫感染で飛沫を吸い込んだり、直接飛沫に触れることによって伝播します。莢膜型は血液に侵入すると髄膜や関節などの部位に付着して、無莢膜型は中耳、気管支などに直接侵入して発病、この時はかぜなどのウイルス感染が先行しているとより咽頭から伝播しやすくなります。
重症型は乳幼児に多いので早期に診断して直ちに治療開始することが必要です。耐性菌が出現しているので適切な抗生物質を点滴静注することが、髄膜炎等を後遺症なく治癒に導くために重要です。中耳炎等の毒性の少ない無莢膜型のインフルエンザ菌に対しては、経口で抗生物質を使用しますが、この場合も耐性菌に対する配慮が必要になります。細菌性髄膜炎の約60%はインフルエンザ菌によります。その頻度は10万人に2~3人ですが、発病しますと10%程度の死亡率と30%を越える後遺症(硬膜水腫等)がみられ、乳幼児では最も怖い疾患の一つです。当院では開業21年、髄膜炎の患者さんを診ることがありませんでしたが、平成22年末から平成23年にかけて2人診断しました。いずれも後遺症なく治癒しています。


ポイント:インフルエンザ菌は乳幼児(特に2才以下)の細菌性髄膜炎の原因菌になっている。
重症病型(髄膜炎、肺炎等)が疑われる時には抗生物質の点滴静注が望ましい。
ヒブワクチンはb型インフルエンザ菌の罹患を防止するのに有効です。

莢膜: 細菌の細胞壁の外側を覆っている多糖体でできた膜、この膜をもっていると白血球などの攻撃に抵抗して強い病原性をもつことになります。細菌の血清型はこの膜の抗原性をもとに分類されます。 無莢膜のインフルエンザ菌はこの多糖体をもたないため血清型を分類することができず分類不能型とされています。ワクチンはこの莢膜を抗原として作成されているので、無莢膜の分類不能型による感染阻止の効果は期待できません
NTHi: non-typeable H influenzae ヒブワクチンに含まれていないNTHiあるいは非b型莢膜株が治療上問題になってきています。
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