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ノロウイルス感染症

 この季節、嘔吐下痢で受診される患者さんが多くなっています。血液がまじらない水様の下痢ではウイルス感染が原因になっていて、なかでもロタ・アデノ・ノロ等が代表的ウイルスです。今回はノロウイルスについて整理してみます。

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 ノロウイルスは電子顕微鏡で観察すると小さい球形をしていることから、以前は小型球形ウイルスとよばれていたもので、現在は遺伝子の検索からノロウイルスとサポウイルスに分類されています。ノロウイルスの血清型は30種類以上で感染したヒトの50%程度が発病すると考えられています(ほぼ半数は症状が出ない)。norotype.jpgヒトへの感染ではGⅡ/4(63%)GⅡ/3(24%)GⅡ/2(8%)GⅡ/14(3%)の頻度で、GⅠ/1,2,3,14も報告されています。
感染は生牡蠣などの生食後・調理する人の手指を介して、また施設(介護施設・病院等)や家庭内でヒトからヒトへの感染が多く、潜伏期間は3~40時間と考えられています。ウイルスが10ヶ~100ヶあれば感染が成立します。












norovirus.jpgしたがって吐物などが空中に飛びちったり、乾燥して舞い上がったものなど吸い込んだり、また下痢便・吐物などが付着したものを触って口に入り感染します。アルコ-ルや逆性石鹸などの消毒は効果が少なく、次亜塩素酸ナトリウムか加熱などが必要です。  症状は嘔吐・下痢・腹痛・軽度の発熱ですが、乳幼児や高齢者では脱水をおこし重症化する場合が報告され、なかには3~4日目に発熱のない幼児の軽症例でけいれんを起こすことも知られています。ロタウイルスに比べて通常は軽い経過をとることが多く、1~3日後には症状が消失してゆきます。嘔気・嘔吐、食欲低下のみで下痢を伴わないこともあります。ただし、ウイルスの便からの排出は2~3週にわたって続きますので家庭内や集団生活の場で感染しやすい状況になります。ノロウイルスに感染しても防御抗体の持続は1年程度と考えられ、再感染しても不思議ではありません。ノロウイルスに感染しているかどうかは、迅速診断キットにより外来で検査可能ですが保険適応はありません。自費で検査することになります。

[まとめ]
1.ノロウイルスには5つの遺伝子型があり、その中のG1の9種類,GⅡ19の種類,GⅣの1種類がヒトに感染する。
2.ノロウイルスは10~100個のウイルス粒子が口に入れば感染が成立する。
3.感染経路はカキなどの生食、吐物や糞便もしくはそれらが付着したものに触れるかもしくは乾燥して浮遊したウイルスを吸い込んで感染が成立する。
4.潜伏期間は12~48時間、症状(嘔吐・下痢・腹痛・発熱)は1~3日ときに4~6日間持続する。
5.ウイルス排出のピ-クは48~72時間、症状消失後も3~7日間は糞便中にウイルスが排出される。
6.無症状の保因者が少なからず存在する。
7.ウイルス株により血液型抗原(分泌型・非分泌型)に対する結合親和性が異なる。そのためノロウイルスに感染しやすい人・感染しにくい人にわかれる。


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ノログル-プ別


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ポイント:   ノロウイルスは食中毒・集団感染の原因になる。
        水様で少し生臭い感じの下痢をみとめる。
        症状がでない不顕性感染があり、感染源となる可能性がある。
        脱水等に注意すれば、重症化することは少ない。
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