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潰瘍性大腸炎

潰瘍性大腸炎は血便を繰り返す難治性の疾患です。20歳代をピ-クに若い年齢の発病が多く、検査の進歩もあって最近では4~5歳くらいで発見されることも少なくありません。当科でも小学生から中学生までのこどもたちからこれまで3人の患者さんを診断してきました。確定診断は大腸の特徴ある病理所見です。そのためには大腸内視鏡検査が必須になります。麻酔等の負担を少なくして小児に実施するには工夫が必要になります。また治療が長期に及ぶことが普通ですので患者さんとの信頼関係も重要、さらに治療自体が順調にゆかないことが多く専門病院との連携もかかせない要素になります。ここでは潰瘍性大腸炎の概略についてまとめてみます。
UC頻度 (1)
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 症状の発端は血便です。細菌性大腸炎では発熱を伴いますが潰瘍性大腸炎では、初期の発熱は重症でない限り多くはありません。血便は持続するのが普通で、いったん消失したとしても繰り返し出現してきます。腹痛・下痢もよくみられる症状ですが、頻度は血便ほどではありません。UC頻度 (2)
疑わしい場合大腸内視鏡検査を施行、典型的な内視鏡像では直腸から連続的にびらん・発赤・潰瘍等がみとめられ、その変化が直腸だけに限局する病型、S字結腸まで、左結腸曲まで、右結腸側のみもしくは全大腸におよんでいるものがあり、病変の範囲は直腸から連続的に口側に向かっていきます。通常最初の内視鏡検査は無処置でS字まで確認できれば十分と考えます。さらに深部への検索は、あらためて準備してから大腸内視鏡を施行するか低濃度のバリウムによる注腸検査を行います。病理検査で粘膜全層のびまん性炎症、細胞浸潤、杯細胞減少、とくに陰窩膿瘍が証明できれば診断の決め手になります。細菌感染による大腸炎は完全に鑑別することが求められています。こどもでは全大腸型等の重症な病型が多く、直腸に限局する軽症は少ない印象です。経過を見てゆくと70%以上が全大腸型となるようです。血液検査では進行すると白血球・血色素・CRP(炎症反応)に変化がみられますが、軽症もしくは初期では正常のことが少なくありません。当科では血便・粘血便を主訴として受診された患者さんを診察した場合、繰り返したときもしくは持続したときに大腸検査を施行しております。
UC病型

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 潰瘍性大腸炎の原因については、確定的なものはありません。環境・遺伝的な要因・免疫異常等が考えられていますが、腸内の細菌と腸上皮細胞・白血球等を介した免疫応答の破綻が病因として想定され研究されています。腸内では経口摂取された食物の分解産物は生体にとって栄養素ですが、免疫的には異物のかたまりでもあります。また腸管内は大腸菌・ビフィズス菌等無数の細菌が棲息している場所でもあります。異物を排除する免疫のしくみ、からだに取り入れてもアレルギ-を引き起こさないメカニズム等複雑でまだ十分な解明がなされていません。免疫学の進歩、腸管璧内神経細胞・免疫担当細胞等の役割がより明らかになれば、病因が明確になり治療法のあらたな開発にも役立ってゆくものと考えています。
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 診断が確立すると現状ではサラゾピリンもしくはペンタサを服用してもらいます。治療に反応しないか薬による発熱などの副作用が目立つときは、ステロイド剤・免疫抑制剤、最近ではインフリキシマブ等の免疫をコントロ-ルする生物製剤が試みられます。また投与方法として坐剤・注腸等の選択があります。重症型(ステロイド等の強力な治療に無反応、大量出血、大腸穿孔、中毒性巨大結腸、癌化例など)あるいは難治例、管理が困難なステロイドの副作用発現、成長障害がみられる症例では大腸の摘出手術が適応になります。いずれにしろ、患者さんが快適に日常生活が送れることが重要ですので、患者さんに最も負担なく生活の質の向上が図れる治療法が選ばれるべきと考えています。
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寛解:2点以下+血便なし(0) 再燃:3点以上+血便あり(1以上)
 
ポイント:潰瘍性大腸炎は増加傾向にあり、こどもの症例がよくみられるようになってきている。
       原因は遺伝的素因を背景として腸内細菌や食餌抗原に対する過剰な免疫応答が誘導されて発病。
       診断には大腸内視鏡が必須で、こどもに実施できる施設は限られる。
       治療は長期に及ぶことが少なくなく、特定疾患として医療費の軽減措置がある。

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