FC2ブログ

クラミジア感染症(クラミジア肺炎)

 クラミジア肺炎がこのところ外来でよくみられるようになっています。臨床症状はマイコプラズマ肺炎と区別がつかないほど似かよっています。そこでクラミジアについて整理して理解を深めたいと考えます。クラミジアもマイコプラズマと同様、他の細菌が持っている細胞壁を持たないのが大きな特徴です。クラミジアは大きく4つに分類され、その中でヒトに感染して症状が出現するのは3種類です。性感染症としてのChramyidia tracomatis、主に呼吸器に感染して肺炎の原因になるChramydia pnemoniae そして飼育されているオウム・インコ・ハトなどから感染するChrmydia psittaciです(高熱・頭痛・筋肉痛・除脈等がありChr.peumoniaeにくらべてやや重症の経過)。Chr.tracomatisには15の血清型、Chr.pscittaci にもいくつかの血清型が知られていますがChr.pnemoniaeは1種類のみのです。最近の遺伝子分析からChr.pneumoniaeとChr.pscittaciはchramydophilaに分類されますが、これに関してはまだ検討の余地があります。
chr3mech.jpg
(クラミジア肺炎の成立機序)
chrprol.jpg
(クラミジアの増殖)EB :基本小体 RB:網様体


 クラミジアが他の細菌と異なるのはその増殖感染の仕方にあります。ヒトの細胞に入り込む形態とその中で増殖する形態の様式が違っています。基本小体として細胞に侵入、網様体に変化して増殖、また基本小体の形で細胞外に分泌されます。細胞内でないと増殖が不能になります。したがって一般の細菌の培地では培養できません。また細菌がもつ細胞壁はありません。そのため抗生物質の選択に影響、細胞壁合成阻害を特徴とするペニシリン系・セファロスポリン系は無効になります。
chrinf.jpg
(ダイナミックメディシンより引用)

 肺炎クラミジア(chr.peumoniae)は飛沫感染により伝播、潜伏期間は21日程度で発熱・咳等が出現、咳はむせるような乾性咳嗽が特徴(肺炎になると喀痰を伴うことも)で、なかには喘鳴がみとめられ治療しない場合、長引いて慢性咳嗽の原因になります。発熱が無いケ-スも少なくなく、一般状態が著しく阻害されることはありません。肺炎の場合、胸部聴診では正常音のことから乾性ラ音・湿性ラ音が聞かれるまで様々です。レントゲン写真では間質性の変化が主ですが、肺胞性のものもみとめられます。CRPは軽度上昇、白血球軽度増多~正常、確定はPCR法による菌の証明ですが、実際の臨床の場では酵素抗体法による抗体価の測定(Chr.pneumonie IgM・IgG)が簡便なため頻用されます。ただEIAの検査には偽陽性などの問題もあり判定には注意が必要になります。IgM 単独ではインデックス2.0以上、IgGではペア血清の採血を原則とし4倍以上の上昇を診断の根拠としています。肺炎クラミジアに感染したヒトの全員が肺炎になるわけではなく約10%程度と考えられています。外来でみる肺炎ではマイコプラズマ肺炎よりやや少ない頻度ですが、医師が疑って検索しないかぎりマイコと誤診されている可能性があります。さらにかぜ症状もしくは気管支炎程度で治癒してしまうことも少なくりません。さらには症状がなく自然治癒してしまう無症候性感染も多く見られ、15歳までにほとんどが感染していて抗体を保有しているとの報告があります。クラミジア肺炎では他の細菌等と混合感染していることが特徴のひとつで、入院した約1/3の症例で肺炎球菌・インフルエンザ菌・マイコプラズマ等の感染が同時に報告されています。合併症として最近では動脈硬化との関連が注目されてきています。クラミジアは感染して抗体ができても、これらの抗体が感染防御に働くことがないため、再感染もしくは持続的に感染することが少なくありません。再感染ではIgM抗体の上昇はなく2週後よりIgG抗体が上昇(初感染時は約4週間後)してきます。
 治療はマクロライド系・ミノマイシン系・ニュ-キノロン系の抗生物質が選択されます。これらはいずれも細胞壁には作用点がなく、蛋白もしくはDNA等の合成を阻害して作用します。クラミジアの細胞壁はペプチドグリカンを持たないため、この部位に作用するペニシリンやセファロスポリンは無効です。投与期間は14日間が標準、比較的速やかに治癒に導くことができます。使用法に制限(8歳未満には原則投与しない)がありますが、ミノマイシンの効果は非常に良好と考えています。
chrkijun.jpg


 ポイント:マイコプラズマ肺炎の臨床経過とほとんど区別がつかない。
     イムノカ-ドマイコが陰性の時に、検査すると陽性になることが少なくない。
     治療によく反応する。
   .  接触が密な家庭内もしくは幼稚園のクラス等小集団で流行がみられる。
     高齢者・基礎疾患を持っている場合は重症化することも。 
     
クラミジア感染症は原因によって3病型があります。普通、みられるのはChr.pneumoniae ですがそれぞれ整理して理解すると役に立ちます。
chr3bunrui.jpg
クラミジア



スポンサーサイト