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ヘルペスウイルス感染症(1)

ヘルペスウイルスは正20面体の構造物を膜(エンペロ-プ)が包んで、内部のコア蛋白にDNAが巻きついた形状をしています。その種類は60種以上に及んでいますがヒトを宿主とするものは表の7つが知られています。いずれも特徴的な臨床症状を来しますが、ヘルペスウイルス感染症といえば普通単純ヘルペを意味しますので、ここでは単純ヘルペス1型・2型について解説します。HSV1は初感染後三叉神経節に潜伏感染、HSV2は坐骨神経節に止まって、生体側の様々なストレス(疲労、睡眠不足、感冒等の他のウイルス感染等)が引き金となって再活性化し水疱等が出現(回帰発症)します。HSV-1は口唇を中心に上半身に、HSV-2は性器を中心として下半身に再発を繰り返します。(内科学、西村書店一部改変)bunruihsv3.jpg
HSV-1は水疱、びらん面、唾液などとの接触感染ないしは飛沫感染で伝播、HSV-2はおもに性行為で感染します。新生児ヘルペスウイルスの感染は胎内感染、産道からの垂直感染ならびに接触等の水平感染の3つの経路があります。潜伏期間は新生児ヘルペスでは新生児期を通じて、それ以降では2日から2週間程度とされています。臨床病型は次のように整理されます。hsvdesase.jpg
1)ヘルペス性歯肉口内炎 ヘルペス初感染時、乳幼児に最もよくみられる病型。口腔内(口腔粘膜・舌・歯肉・頬粘膜等)に水疱・発赤・びらん・潰瘍が出現、口内痛で食べられなくなって脱水となり入院が必要なこともあります。高熱を伴って重症な場合も少なくありませんが、この病態から脳炎を発症することは少ないと考えられています。カボジ水痘様発疹症アトピ-性皮膚炎や脂漏性湿疹など皮膚バリアが破綻している状態では紅斑を伴った水疱が集簇、広範囲に拡大して疱疹性の湿疹面になります。単純性脳炎発熱からけいれん急速に意識障害を来し無治療の場合死亡率は70~80%と重症です。ヘルペス性歯肉口内炎に合併することは少ないと考えられています。新生児ヘルペス 性器ヘルペスを持つ母親から感染、再発型の性器ヘルペスからは5%、初感染の性器ヘルペスからは50%以上が感染するとの報告があります。病型は1)多臓器不全(致死率80%)2)中枢神経型(同50%)3)表在型(同0%)の3つに分類、直ちに診断(確定診断を待たずに)治療を開始(アシクロビル点滴静注)することが必要になります。性器(陰部)ヘルペス  性行為から数日~1週程度の潜伏期間をおいて突然の強い疼痛とほぼ同時に水疱・びらんが出現、重症では疼痛から排尿・歩行が難しくなることもあります。HSV-2もしくはくはHSV-1で発症しますが、再発はHSV-2によるものが大部分になります。顔面神経麻痺原因不明の顔面神経麻痺の20%がヘルペスウイルス感染が原因と考えられています。ヘルペス性角膜炎 上皮に感染角膜潰瘍を呈するものと、実質に感染して円板状角膜炎から角膜壊死になって視力障害にいたるものがあり油断ができません。
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