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川崎病

川崎病は1967年に川崎富作先生が初めて報告、原因不明の全身の血管炎が主な病態です。当初は発熱・皮膚粘膜の特徴的な変化が注目されましたが、症例が増加するにつれ冠動脈に動脈瘤を形成、死亡例も少なくないことがわかり、病態の解明、治療法の開発に多くの研究者が携わるようになって現在に至っていますが、病因についてはいまだ未解明のままです。6~11ヶ月の乳児の罹患が多く流行に季節性があります。診断基準は下記の6項目があげられそのうち5つをみたせば川崎病と診断しています。治療としてはアスピリン・ヒト免疫グロブリン製剤(IVIG)・ステロイドなどが使用され急性期の心臓の合併症後遺症ともに減少してきています。信頼の高い治療はIVIGですが反応しない例が約15%あり生物学的製剤(抗TNFα製剤:エタネルセプト等)の使用が検討されつつあります。
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*川崎病は増加しています。
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*発生のピ-クは1月です。
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*6~11ヶ月の乳児の罹患が最も多くなっています。再発もあります。

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*治療の進歩により心合併症・後遺症は年ごとに減少しています。


川崎病の診断基準(次の6項目中5項目を満たせば該当)

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川崎病の治療


1)アスピリン単独療法
2)アスピリン+免疫グロブリン(IVIG)
  IVIGの適応 ①白血球 1,2000/μl以上 ②Ht 35%未満 ③血小板 35万未満 ④CRP 4.5mg/dl以上
    ⑤血清アルブミン 3.5g/dl未満 ⑥男児 ⑦13ヶ月未満 (①~⑦の4項目以上を満たす時)
3)免疫グロブリン超大量単回療法
4)免疫グロブリン+プレドニゾロン初期併用療法
  重症度の予測スコア ①Na 133mEq/l以下 ②GPT 100IU/l 以上 ③好中球 80%以上 ④CRP 10mg/dl以上
    ⑤年齢 12ヶ月以下 ⑥血小板 30万/μl以下 ⑦治療開始日4日未満
5)免疫グロブリン不応例
    ・免疫グロブリン再投与
    ・ステロイドパルス療法
    ・抗TNFα製剤(インフリキシマブetc.)


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ポイント:乳児で高熱が続く時、鑑別しなければならない疾患のひとつ。
         病初期では目の充血が特徴的。
         発熱後できるだけ早期に診断することが重要。
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