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IgA血管炎(Henoch-Schönlein紫斑病:HSP))

HSPはIgAを主とする免疫複合体が血管壁に沈着して生じる血管炎で、臨床的には紫斑・消化器症状'(腹痛血便)・関節症状・腎炎などを特徴とする小児の代表的な血管炎のひとつで日常診療でも少なからず遭遇する疾患です。小児に多く(約90%)みとめられその大部分は4~6才に集中、通常上気道感染後に発病することが多く、溶連菌感染症等の先行する上気道感染症の関与が考えられています。HSPの発症は急性で数種類の症状が同時に発現する場合と数週間から数か月の経過で症状が現れる場合があり、症状の程度も軽いものから重い経過になるものまで症例毎に様々です。【紫斑の経過】:必発、経過で様々な変化を示します。初期には両下腿に少し隆起した赤色の発疹が出現、左右対称的で圧迫しても消退せずしだいに紫いろのアザのような平坦な斑状の皮疹に変化するものやじんましん様の限局性浮腫が出現移動して消退するものがあります。皮疹は頭部顔面陰嚢などにも少なからずみとめられます。皮疹の経過もさまざまで数日から数か月、なかには年余にわたって出没を繰り返すものもあることが知られています。
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【腹部症状の経過】腹部症状の程度はさまざまで軽い腹痛から血便を伴って睡眠も不可能な激痛まで症状の継続期間も含めて個人差があります。反復性の腹痛が特徴で嘔吐下痢を伴うことがあり、腸管壁の血管炎の程度によって症状が異なり重傷なものは下血を繰り返し腸管の閉塞穿孔を合併することも稀ではありません。大腸の内視鏡検査では広範囲の顆粒状の出血斑やびらんをみとめ潰瘍性大腸炎の病像に近似しています。こうした変化は上部消化管にもみとめられます。何等かの消化器病変は50~75%にみとめられます。
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【関節症状】おもに足関節・膝関節に腫脹疼痛をみとめ、中には小児の慢性関節リウマチと鑑別が必要な症例もあるが、関節の変形は残しません。疼痛が強くその間歩行が難しくなることがあります。関節症状は約80%の症例にみとめられます。
【腎症状】経過中に血尿・蛋白尿などの腎合併症は20~54%にみられます。多くは血尿単独もしくは血尿+経度蛋白尿の症例で大部分は自然消退しますが、なかには急性糸球体腎炎から長期的に慢性腎臓病(CKD)となるものが1~3%に存在、最重症例では急速進行性糸球体腎炎から腎不全にいたるものがあり注意が必要です。血尿蛋白尿は皮膚病変から遅れて1~3か月以内に出現、なかには1年経過して尿所見の異常が出現するものもあり、経過観察が重要になります。HSPに起因する腎炎を紫斑性腎炎と呼んで病態の解明や治療法の検討がなされています。:
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腎臓以外の泌尿器科的な合併症は精巣炎尿管炎などがあり陰嚢の浮腫腫脹も少なからずみとめられ精巣捻転を来たし救急処置が必要な事態になることがあります。
【中枢神経病変】まれに痙攣・頭蓋内出血等の報告があり油断できない疾患ではあります。

【治療について】

自然治癒傾向の強い疾患なので下記の病態を除いては経過観察で良いと考えています。
①強い腹痛・消化管出血
  ステロイド剤が有効(ブレドニン 1mg/kg 1~2週間
  重症例(大量の消化管出血)
メチルブレドニゾロンパルス療法
②腎病変
  軽症例
  抗血小板薬、ACEorARB
重症例
  ステロイドパルス療法、シクロスポリン療法、ステロイド+パルス療法、血漿交換療法などIgA腎症に準じて治療。

ポイント:
①紫斑等の皮疹・関節痛・消化器症状・尿所見などいずれも軽微な変化から重症まであり注意する。
 ②腎病変の重症度がその後の治療計画を左右する。
 ③皮疹は重力が加わると悪化して出没を繰り返す。一喜一憂をしないこと。
 ③HSPはアレルギ-性紫斑病・アナフィラクトイド紫斑病・血管性紫斑病と呼ばれることがあるが
   2011年からIgA血管炎に名称変更されている。




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